MEAD GUNDAM (著)シド・ミード 感想

1999年に放送された∀ガンダムという作品に登場する海外で活躍するシド・ミード氏によるガンダムやその他モビルスーツのデザインの過程を描いた一冊ですが、数々のラフスケッチやt完成イラストが掲載されていて迫力がすごいです。各ラフスケッチに書かれている英文が読めないのが悔しくなるくらい多数のメモが書かれています。解説文も面白く、日本語訳と英訳のそれぞれの言葉を使っている人にしかわからないニュアンスがいくつも含まれているように思いました。この本で紹介される∀ガンダムはそれまでのガンダムの額にあるツノを髭の部分に移すという大胆なデザイン手法が話題になったのですが、その∀ガンダムの初期段階に至ってはツノに当たる部品もヒゲに当たる部品もなかったのが驚きで、目らしき部分も左右でつながっていたりと海外と日本のキャラクター観の違いなども見えて面白いです。ガンダムの関節部分の動きなどは非常に細かい指示をシド・ミード氏は受けて何度もラフスケッチを提出しているのですが、2007年に発売されたマスターグレードという上級ブランドの100台目の記念モデルとして発売された∀ガンダムではその動きは完全に再現されており、後々まで生きている仕事であるなと読み返して思いました。また、アニメに登場しなかった4レッグという機体の手足の構造は後の作品のライバルのガンダムに生かされていたりもしていることがわかります。また∀ガンダムの最後の敵ターンXの設定において書かれた、「アンチヒーローの定義」という文章の、アンチヒーローは善の弱点を熟知していてモラルの善良さにつけ込むことに何ら呵責を感じないという文章は娯楽作品の悪というものの特徴を明確に捉えているなと思いました。