洗脳 地獄の12年からの生還 (著)Toshl 感想

日本を代表するモンスターバンド・X JAPANのヴォーカリストToshlさんが体験した、「洗脳」による地獄を綴った自叙伝です。90年代後半に洗脳組織のメンバーと繋がってしまったToshlさんはその後12年にも渡って洗脳され、総額で15億円以上を奪われました。この本にはそのおぞましい程の体験が赤裸々に綴られています。中でも印象的だったのは、結婚した女性が最初からToshlさんの洗脳を目的として近づいていたのだという事実です。「まさか誰もそこまでやるとは思わないだろう」と驚きましたが、そういったことをいとも簡単にやるのがこういった組織なんだということに、背筋が寒くなる思いがしました。また、洗脳組織内での「セミナー」と称した暴力行為も凄まじいものでした。暴力によって恐怖をすり込み、指示に従わせるという残酷な手段は知れば知るほど恐ろしく感じ、読むのを躊躇うほどになりました。
しかし、この本には絶望しか書かれていないわけではありません。盟友・YOSHIKIさんとの再会、X JAPAN再結成、そして洗脳組織から命懸けの脱会。そして現在X JAPANが世界規模で快進撃を続けるに至るまでのストーリーには、壮絶な悲劇を知った後だからこそ胸が熱くなるものがありました。もともとX JAPANファンではありましたが、この本を読んだことによってさらに深くX JAPANを知り、その音楽の訴えるものをより鮮明に感じることができるようになったと思います。ファンの方はもちろん、X JAPANはTVでしか見たことがないという方にもオススメできる1冊です。