山怪 山人が語る不思議な話 (著) 田中康弘 感想

この本の内容を一言で説明すると、「山で起こった不思議な話」です。

作者が、マタギなどの山の専門家に山で起こった不思議な話を聞くというスタイルをとっているので、フィクションなのかノンフィクションなのかよくわかりませんが、引き込まれる話であることは確かです。

このように、引きこまれて夢中になって読んでしまう点が、山怪の特徴ですが、それ以外にも、この本にはもうひとつ特徴があります。

それは、はっきりした答えが書かれていないことです。

例えば、誰もいない山の中に入った人が、腰のあたりを何者かに引っ張られる話があります。

初めはどこかが木に引っかかったのだろうとその人は考えますが、近くには木もありませんし人もいません。

いったいなぜ、となりますが、その答えはまったく謎のまま終わります。

他にも、迷うはずのない道に迷ったり、見たことのない光を見たりといった不思議な話が続きますが、それが何なのかは、作中では明かされません。

(それを体験した人も、何が起こったのかよくわからないのでしょう)

なにか不思議なことが起こるけど、その不思議な事が何なのかはっきりしないところが、この本の面白いところです。

(幽霊を直に見るより、何かよくわからないものが近くにいる方が怖くて興味をそそるのと同じです)

どこまでが本当の話なのかわかりませんが、そんなことがどうでもよくなるくらい面白いので、山登りが趣味の人、山にまつわる不思議な話に興味がある人なら、一度読んでみるといいでしょう。