だいたい四国八十八ヶ所 (著)宮田珠己 感想

宮田珠己さんの、「だいたい四国八十八か所」を読んでみました。

内容は、タイトルから察しのつく通り、四国八十八か所の霊場を巡るお遍路旅、しかも、八十八か所を歩いて巡る「歩き遍路」での旅です。とはいうものの、全行程を一気に歩くのではなく、いくつかに期間を分けて歩く「区切り打ち」というスタイル。その道中をまとめたのが、本書「だいたい四国八十八か所」です。

 「遍路」といえば、何か心に秘めるもの、「過去を清算したい」であるとか「信仰に生きたい」と願う人々の巡礼の道とイメージをしてしまいますが、本書での遍路はとりあえず四国を一周したい、御朱印を全部集めたいという、言ってみればスタンプラリー的な動機で始まります。そんな、肩の力が抜けた、あるいは、肩の力を抜きたいという思いがタイトルの「だいたい」という言葉に詰まっています。

 遍路に興味がなくても、全編に渡って、思わず吹き出さずにはいられない宮田さん一流のレトリックが充満しており、「あぁ、面白かった。」と堪能することができました。
 
 しかし、それだけではなく、随所に信仰の成り立ちや、自然と宗教のかかわりについての鋭い考察が出てきてハッとされますし、旅というものの本質に触れる著者の名言(「おぉ、今わたしはここにいる!」)なども飛び出して、文体の面白み以上に味わい深い本と感じました。

 また、歩き遍路の宿敵・足のマメ問題や、装備、歩いて楽しい道はどこかなど、実用ガイド的な側面もあり、これから遍路に臨もうという方にはガイド的な読み方もできます。

 ただ、最も面白かったのは著者宮田さんの「遍路」に対してのスタンスや心境の変化が、書き記されていることです。自在な旅を希求しながらも「遍路」であることに対しての距離感がいったり来たり、迷ったり・惑ったりしながら、旅を楽しもうとする姿勢こそが最大の読みどころではなかったかと思っています。